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柿渋 | 悠久録(長岡新聞コラム)

悠久録column

柿渋

 柿のおいしい季節になった。友人からもらった柿は焼酎に浸して10日間後に容器の口を開けてほしいとコメントが付いていた。
 いったい渋いとはどんな味だろう。現在、この渋みという味が理解できない子供達がいるという。ネットでは、「渋い」味について「苦い」「喉がイガイガする」「口の中に刺すような感覚」などという意味が載っている。その渋柿を干し柿にすると渋みの元「タンニン」が口の中で解けないようになるため、渋みを感じなくなるという。
 学生の頃家から送ってもらった少し渋い柿を食べてひどい便秘になった記憶がある。これもタンニンのせいだった。
 かって我が家は屋号「渋屋」と呼ばれ、渋を販売していた。八月末、まだ柿が熟さない時に、柿の木ごとそっくり買って、柿を落し、家に運んで臼の中で餅つきのように砕いた。それを容器に入れて何日かおいてジャッキで絞ると渋を含んだ液が出てくる。これを大きな桶にため込んで発酵させ、暫くすると渋となる。この渋は防腐作用があるため、水中で用いる魚網や釣り糸の防腐と、強度を増すために古くから用いられてきた。また、木工品や木材建築の塗装の下地塗りにも用いる。和紙に塗って渋紙として床に敷いたりする。脳梗塞に薬として買いに来る人も居た。
 我が家には渋で黒くなった一升枡が残っている。今や「渋」は文字のみになった。(ひこぜん)


※「悠久録」は長岡新聞の一面コラムです。

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高橋 実

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