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糠火八反垂れの陰で九反 | 悠久録(長岡新聞コラム)

悠久録column

糠火八反垂れの陰で九反

『新潟県県民性の民俗史』(新潟日報事業社)の本の中に「糠火八反垂れの陰で九反」の言葉が出てきた。この言葉は嫁と姑の争いの諺である。小国の鈴木百合子さんの語る話では「糠火八反くらつま九反」となっている。
 この諺を説明する前に「糠」について知る必要がある。広辞苑を引くと「主に玄米を精白する際に生ずる、果皮、種皮、外胚乳などの粉状の混合物」と書かれている。この糠が「ぬか漬け」というように漬物は糠に塩や水を加えた糠床になる。しかし、『新潟県方言辞典』では糠は「籾から玄米にするときの外皮」となっていて、意味が違っている。新潟県では、「糠」とは籾殻を指している。この糠は燃料となり、それ専用のぬか窯がある。この諺の「糠火」は糠の燃えるあったかい場所で、姑は織った布が八反である自慢すると、それに対する嫁は暖房も灯りもない「くらつま」(暗い場所の方言)で九反も織ったといって反撃する。この本の諺とは少し違っている。「垂れ」というのは、部屋を仕切る襖の代わりに蓆を下げる場合をさす。同じ語源からでた諺であろうが、鈴木さんの「くらつまくたん」が言葉として、「く」が連続して覚えやすい。
 昔話の中にはこうした嫁・姑の対立が出てくるのが他にもある。「ぼたとカエル」などがそれである。姑が牡丹餅を一人占めしているのに嫁が反撃する話である。(ひこぜん)


※「悠久録」は長岡新聞の一面コラムです。

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高橋 実

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