聴き語りの世界
歴史博物館で国立民族学博物館准教授広瀬浩二郎氏の講演をお聞きした。広瀬氏は1937年生まれ、13歳で失明された。京都大学大学院博士号を取得、専門は日本宗教史・民俗学・触文化論。題名は「『聞き語り』の芸能―瞽女唄の現代的意義をめぐってー」だった。一時間のほとんどを自己の失明経験から見えてきた世界に費やした。小学校時代に文字を使えない自由であったが、学校に進んで、文字を使える自由を謳歌し、その後、文字を使わない聞き語りの世界に魅力を感じるようになったと話された。
瞽女の世界は耳から聴く世界で、絵や文字を使わない。見えないということは、マイナスではなく、その中に見える人ではわからない物事の本質を見極めていたというのである。視覚より、聴覚に真実を極めようとした。瞽女が旅から旅を続けたのは、視覚優位の世界から、視覚外の中にある真実を見つけようとしたからに他ならない。目からうろこがおちるような気がした。いい話だった。(みのるん)
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